SRIスポーツが開発 環境負荷低減を実現 ゴルフボールの新塗装技術

2011年10月05日

ゴムタイムス社

 SRIスポーツ㈱は、揮発性有機化合物(VOC)の使用量を削減し、環境負荷を低減するためゴ ルフボールの表面に使用する水系の透明塗料と、その塗装技術を新たに開発した。この塗装技 術はゴルフボールの表面塗装用として求められる耐久性、膜厚の均一性、光沢などを従来の溶 剤系塗料と同レベルに高めた。

ゴルフボールは、ドライバーでの打球時には瞬間的に1㌧もの力がかかり、大きく変形すること やグリーン周りのショットではバックスピンを強くかけるため、ゴルフクラブの打球面との摩擦が非 常に大きくなり、表面の塗料には優れた耐久性が要求され、ミクロン単位で設計されている微細 なディンプルに、均一な厚さで塗装する必要がある。さらに、美しい外観のため、優れた光沢性も 要求される。

 従来の水系塗料で要求性能を溶剤系塗料と同等以上にすることは非常に困難だった。しかし ながら同社は、水系塗料のエマルション粒子を小さくすることや主剤の分子量および化学構造を 適正化することで、光沢性および耐久性を向上することに成功した。また、新開発した薄膜多層 化技術により、膜厚均一性を高めた。

 これらの改良により、ゴルフボール表面用の水系透明塗料の実用化に成功し、VOC排出量を 溶剤系塗料使用時と比較して10分の1程度まで減少させることが可能となった。現時点では、コ スト面などの課題があるため商品への採用には至っていないが、継続して研究を進めることでコ ストダウンを図り、商品化を目指す。

 SRIスポーツグループは、ゴルフボールの塗装に関しては1997年から塗装前の処理方法変 更などの生産技術開発に取り組み、ゴルフボール専用の市島工場(兵庫県丹波市)のVOC排出 量を大幅に削減。2000年比で50%以上の削減を04年以降継続し、環境省から表彰されている 。

 

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