【合成ゴム特集】大阪ソーダ ヒドリンゴムを値上げ

2017年04月10日

ゴムタイムス社

 耐熱、耐候性で自動車用途拡販

 大阪ソーダの機能材事業部は、原料市況の上昇に対応、エピクロルヒドリンゴム「エピクロマー」を2017年4月1日出荷分から30円/kg値上げした。

 同社では、原燃料価格の高騰に対しコスト低減の自助努力をしてきたが、モノマー等の主原料及びユーティリティーなどのコストが増加、 事業の採算が悪化している。同社では「エピクロマー」の安全供給 体制を維持するためにも、価格改定が不可避と判断した。

 同社のエピクロルヒドリンを主原料とした「エピクロマー」(エピクロルヒドリンゴム)は耐熱性、耐油性、低温柔軟性などに優れた特殊合成ゴム。自動車用燃料系ホース・吸排気系ホースの自動車用分野に使用されるほか、半導電性を有することからLBPやデジタルカラー複合機用帯電・転写・現像ロールなどのOA機器用途に採用されている。

 需要の8割以上が自動車関係で、残り2割がOA機器等の非自動車向け。同製品の8割が輸出向けである。年産1万1000t(水島工場)の生産能力を有し、世界販売シェアは6割を占める。

 自動車向けの足元の需要動向は、「国内市場は昨年、下期以降自動車生産が回復基調となり、年明け後も堅調に推移している。輸出は自動車の排ガス規制や燃料蒸散規制の強化が進む中国、インドなど新興国での自動車生産の拡大で引き続き堅調に推移している」という。ただ円高の影響などにより、金額ベースでは前年同期を下回っている。

「エピクロマー」の自動車用途例

「エピクロマー」の自動車用途例

 同社では、ヒドリンゴムの更なる拡大を図るため川下展開および海外展開の強化を図る方針でおり、川下展開ではゴムコンパウンド製造会社「INBプランニング」(本社愛知県)への出資によるコンパウンド技術の活用や両社での共同開発によるコンパウンド事業の拡大を図っていく方針。海外事業の強化では、大阪ソーダのグループ会社である中国の大曹化工貿易(上海有限公司)、タイのダイソーケミカルタイランドの両販売会社との連携を強化する拡販体制を敷いている。タイ拠点では東南アジアだけでなく、インド市場の開拓にも注力。インドは四輪車だけでなく、大きな市場がある二輪車もターゲットにしている。

 一方、自動車部品での用途開拓では、「今までヒドリンゴムが使われていなかったところに特性をPRし、不具合を抱えている部材の他素材からの置換を進めていく。ヒドリンゴムの持つ耐熱、耐久性に優れる特性を活かしたエアーホース系でのカーメーカーへの採用車種の横展開を図る」。同社の技術開発部で引き続き新規用途開拓に注力する方針で来期以降の市場投入に期待を寄せる。[/hidepost]

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