東部ベルトエンドレス 有機溶剤をテーマに 小熊会長が講師で研修会

2011年10月04日

ゴムタイムス社

 東部ベルトエンドレス工業会(小熊良治会長)は9月29日、東京・中央区の京華スクエア(中央区立ハイテクセンター)で「有機溶剤業務従事者労働衛生教育研修会」を開催した。
 この研修会は、同工業会の会員企業の従業員のほか東部ゴム商組の会員企業、葛飾ゴム工業会の会員企業の代表ら40名を超す参加者があり、小熊良治会長が講師となり、有機溶剤に起因する健康被害をなくす方法や溶剤作業の管理方法、健康への影響と応急措置など、労働衛生教育として幅広い分野にわたって言及した。

 有機溶剤は、他の物質を溶かす性質を持った常温、常圧で液体の有機化合物であり、揮発しやすく引火性、麻酔性があり、低い場所に滞留するなどの特性を持つ。
 種類は危険性(毒性、揮発性)の高い順に3種類に区分され、クロロホルム、二硫化炭素などの第1種(赤)7種類、キシレン、トルエンなどの第2種(黄)40種類、ガソリンや石油、ベンジンなどの第3種(青)7種類がある。
 ベルトエンドレス事業者もこうした有機溶剤を数多く取り扱っており、従事者の知識の習得は必須の課題となっている。有機溶剤作業の管理については「有機溶剤作業主任者」の指揮、管理のもとで作業手順に従って作業を行わなければならない。作業開始前に、使用する有機溶剤の危険有害性を確認し、作業関係者に周知徹底させることが重要。
 建設現場には有機溶剤や危険有害性を有する可能性がある化学物質の材料が多く使用されている。これらの化学物質を含んだ材料には、人体にどのような有害性があるのか、また現場で取り扱う上でどのような危険があるのか、情報を通知するのが製品安全データシート(MSDS)。これはマテリアル・セーフティ・データ・シートの略。
 情報の交付内容は①名称②成分およびその含有量③物質的および科学的物質④人体におよぼす影響⑤貯蔵または取り扱い上の注意。メーカーが使用者に知らせるよう法律で義務付けられた。
 作業環境管理は作業主任者が監督し、送風では新鮮な空気を取り入れ、逆流しないよう排気は作業場所からできるだけ離すことが重要。作業場では有機溶剤を発散させないよう容器は必ずフタをし、直接皮膚に触れないよう注意、さらに蒸気を吸わないようにすることが大切。防毒マスクは国家検定に合格したものを使用する。
 有機溶剤による中毒で作業者が意識を失っているのを発見したときは、慌てて救出のために近づくのは危険。二次災害防止のため有機ガス用防毒マスクを着用し、充分な換気と環境測定を行い、安全を確認してから救出に向かう。
 小熊会長は「ベルトエンドレスの現場でも多くの有機溶剤を使っており、正しい知識と適正な使い方をしないと人の健康に甚大な影響を与えることをしっかりと認識してもらいたい。当工業会でも会員企業の従業員に喜んでもらえる研修会を企画、実施していきたい」と意義を語った。研修会終了後は、受講者全員に同工業会が認定する修了証が授与された。

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