【コラム連載シリーズ】世界のゴム事情16 タイ(下) タイのゴム産業 加藤進一

2017年04月28日

ゴムタイムス社

 前回は、タイの日系メーカーにおける現状をお伝えしました。今回はタイの原料面でみていくと、工業用ゴム部品によく使われるEPDM、NBRはタイでは現地生産されていません。すべて輸入品です。日本、韓国、米国からの輸入が多いようです。日本からタイに輸出されている合成ゴムは、そのほとんどがタイの日系ゴム会社向けでしょう。さらに、ここ数年合成ゴムが世界中で需給が緩んでいる状態でタイでは場合によっては、日本より安い合成ゴム(韓国、台湾、欧米品)が入手できる状態になっています。カーボンブラックも現地系と日系(東海カーボンとブリヂストン)の高品質なカーボンブラックが入手できます。ゴム薬品も現地の商社が輸入在庫の販売をしており、日本と同様に苦労なく調達できます。

 タイでゴム産業というと、これらの自動車ゴム部品、タイヤを指すのではなく、天然ゴム産業を意味します。タイのゴム協会は、天然ゴムの生産者の団体です。タイは世界でNo1の天然ゴム生産国です。その多くは華僑系です。タイの年間天然ゴム生産量は300万トン以上ですから、大手の天然ゴム工場は月に5000トン(日に150トン)以上を生産します。

 場所はマレーシアの国境近く(実はテロで危ない地域ですが)、日系ゴム部品工場も多いラヨン県、さらにカンボジアに近い東北部に天然ゴム工場があります。タイの天然ゴム工場はゴム農園をもっていません。原料として、近くの農民から、CUP LAMP(ゴムの木からとったラテックスが固まったゴムの塊)や、UNSMOKED SHEET(ゴムラテックスに酸をいれて固め、水を絞った、固めの天然ゴムシート)を毎日購入してそれを砕いて、ゴムをとり、オーブンで乾燥して

 

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